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呪い・祟り

どこかで見た話さんによる呪い・祟りにまつわる怖い話の投稿です

人形劇
短編 2025/03/04 12:07 2,444view
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俺の家には古びた日本人形がある。

黒髪は絹のように美しく、白い顔は薄暗がりの中でもぼんやりと浮かび上がる。着物は色褪せてはいるが、それでも上品さを失っていない。

その人形は祖母の家の奥座敷に飾られていた。

「絶対に触っちゃいけないよ」

小さい頃、祖母は繰り返しそう言った。

なぜなら――

人形には「魂」が入っているから……

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俺は佐伯良太(さえき りょうた)、二十八歳。

最近、祖母が亡くなった。

一人暮らしをしていた祖母の遺品整理をするため、俺は久しぶりに田舎の家へ戻ることになった。

大きな屋敷は昔のままだった。廊下のきしむ音、畳の匂い、古時計の針の音――すべてが懐かしく、そして少しだけ不気味だった。

遺品整理を進めるうち、奥座敷の押し入れから、例の日本人形が出てきた。

祖母の言いつけを守り、俺はその人形に触れたことがなかった。

だが、その夜、異変が起きた。

深夜、ふと目が覚めた。

何かの気配を感じた。

暗闇の中、畳の上に何かが立っている。

人形だった。

昼間は確かに押し入れにしまったはずの日本人形が、俺の布団のすぐそばに立っていた。

喉が凍りつく。

「……誰が置いた?」

まさか、祖母の霊が――?

いや、そんなはずはない。

俺は震える手で人形を持ち上げ、元の押し入れに戻した。

それなのに。

翌朝、また同じ場所に立っていた。

その日から、夢の中にも人形が現れるようになった。

誰もいないはずの部屋の隅で、人形がこちらを見ている。

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コメント(1)
  • 某番組は「プラモデルには作った人の魂が宿る」って言ってたから、プラモデルでも似た現象が起きるのかも

    2025/03/04/23:09

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